嵐丸ターミナル日記

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昨日5/4に橘丸で嵐丸と本土へ渡りました。
船の中では嵐丸は猫バッグの中から出ず、水も飲まずに過ごしていました。
ちゅ〜るもあまり食べなかったので心配してましたが、体を撫でてあげると横になって伸びをして眠ったので、ちょっとはリラックスできていたのかな?
その日は実家へ向かい、今日5/5に動物病院へ。

かかったのはゼファー動物病院というところです。
ここを選んだのは実家のネコのかかりつけだったことと、腫瘍科があるのでもし腫瘍が見つかった場合に治療ができるかもと思ったから。
朝イチで行こうと思うと事前に母に相談したところ、8時前には並び始めるとのことで(※診療開始は9時)、8時ごろには到着して順番を待つことにしました。
8時2分に動物病院に着いたけど、すでに4人くらい並んでいて、10分も経つと駐車場はいっぱいに。「これがクチコミ★4.5の動物病院……」とびっくりしました……

初診だったので問診票に記入し、セカンドオピニオンであることを伝えカルテのコピーを渡すと、受付のお姉さんが「嵐丸ちゃんの具合が悪くなったらすぐに言ってくださいね」と気遣ってくれました。
けっこう待つかと思ったけど、早めに来院したおかげか9時半頃には順番が来ました。
ちょっと診てもらった段階で、
・心臓の鼓動が少し遅い
・体温37.5度で少し低体温
・頑張って呼吸している状態
とのことで、危ない状態と言われました。
まだ緊急な感じではないと思っていたので エッそんなに!?と驚いてしまいました。
リラックスしてるナ〜〜とか言ってる場合じゃなかった…………
あと歯がかなり欠けているとのことでした。見てみるとたしかに下の前歯が全部なく、上の前歯も本数が少なくなっていました。口の中を見たことがなかったから気付かなかった……
歯がないからカリカリを食べないのか?ということをたずねたら、それは関係ないと思うとのことでした。食べないのはお腹の要因が大きいとのこと。

「検査をしますが、検査中に突然心臓が止まったりするかもしれません」
と言われ、動揺…………
でも何もしなかったらこのまま死んでしまうと思ったのと、とにかく腹水の原因を知りたかったのでお願いしました。
何かあったらすぐ呼びますとのことで、検査が終わるまで院内で待つことになりました。
すぐに呼ばれたらどうしよう……と気が気ではなかったんですが、1時間後に呼ばれ、「嵐丸ちゃん今酸素室で休んでます」といわれとりあえずホッとしました。
レントゲンとエコーの画像を見せてもらい、胸水が溜まっていること、胸膜が炎症を起こしていること、脱水症状もあること、腹水もあるがお腹の膨らみの大部分は腫瘍らしき何かであることを教えてもらいました。
「非常に言いにくいんですがおそらく末期がんです」
といわれた時、ああやっぱり……と心のどこかで思いました。
がんの場合多くは苦しんで亡くなると聞いていたので、それだけが心配で、なるべく苦しいのを取り除く治療法はありませんかと聞こうとした時、自分でも驚くほど涙が出てきてしまいました。
終末ケアになるかなあと1週間以上前から自分で言っていたのに、なにも覚悟できていなかったのだなと思い知らされました。
先生からはペット用の酸素カプセルをレンタルすることをオススメされました。
現段階でも頑張って呼吸している状態で、これからもっと呼吸がしづらくなるので、酸素室で過ごさせてあげる緩和ケアがいいとのこと。

その後、抜いた胸水を調べたり、お腹にあるのが具体的になんなのかを調べる検査をしてもらうことになりました。
今は嵐丸の呼吸が苦しそうとのことで、呼吸が安定してから検査をするので一度帰宅して16時にまた来ることに。
帰宅する前に、もし検査中に心臓が止まったらどうするか? ということを聞かれました。飼い主と相談して決めておかないといけないらしい。
心臓マッサージをした場合、人間と同じで肋骨にかなりのダメージを負う可能性が高いということも教えてもらい、蘇生してもらっても嵐丸にとって苦しい時間が延びるだけだと思ったので、蘇生はしなくていいですとこたえました。

万が一の時は連絡がくるので、帰宅してからずっとスマホを手放せませんでした。
そのあいだに酸素カプセルのレンタルなどを調べ、ネコのがん闘病記などを調べたりしました。
あとは「はじめてのネコのターミナルケア・看取り」という漫画。

がんのネコちゃんのターミナルケアについてわかりやすく丁寧に書いてありました。
心がまえも含めて参考にすることにします。

嵐丸ちゃん、病院で一人で亡くなっちゃったらどうしよう……と思っていましたが16時まで連絡がくることはなく、検査結果を聞きに行きました。
まず、お腹の細胞はほとんど取れなかったそうです。針でお腹を刺して採取する方法だったのですが、検査できるほどのものが取れなかったとのこと。
胸水はがんが原因で胸膜炎を起こしていると思われていたのですが、がん性ではなさそうだとのこと。FIPも考えられるが、成分や状態からするとFIPの可能性は低い(これには安心)。
お腹にあるものはおそらく胆管癌かリンパ腫が考えられるけど、きちんと名前を付けるとするとお腹を開いて細胞を採取するか、太めの注射針を刺して採取するか……
でも名前を付けたところで治るわけではない、あまりにも腫瘍が大きすぎて摘出も難しい、それに嵐丸ちゃんは麻酔に耐えられる状態ではない。
ということを踏まえて、これ以上の検査はせずに島で緩和ケアをしながら看取ることに決めました。

緩和ケアのことを先生から色々教えてもらい、最後に「嵐丸ちゃんは何歳くらいですか?」とたずねました。
島で診てもらったとき、出産経験もあるみたいだし2〜3歳かなと言われていたのですが、歯やがんの状態から「10歳くらいにはなっていると思う」と言われました。
ランちゃん、アンタおばあちゃんだったの!?
とビックリしたのと同時に、ノラネコにしては長生きだとか、ノラネコ生活がすごく過酷だったんだなとか、長いノラネコ生活の最後の最後にわたしの家を選んでくれたのかなとか、そういうことを思いました。

実家に戻ってくると、嵐丸はすぐに島から持ってきたお気に入りの猫ベッドに入り、撫でてあげるとクルルル…と喉を鳴らしながら眠りました。
昨日の船移動と、今日の病院でかなり疲れたのだと思います。胸水を抜いたからなのか、今までの喉の鳴らし方と少し違って、鳥の鳴き声みたいな軽やかな音になっていました。

八丈へ戻るのに長時間の船旅に嵐丸が耐えられるか正直不安ですが、万全の準備をしてなるべく嵐丸に負担のないようにしてあげようと思います。